抄録
チューリップ切り花の工場的生産を想定して, りん茎の2℃低温貯蔵期間と栽培温度から到花日数と切り花品質の予測を行う動的シミュレーションモデルの作成を試みた.資料データとして, 1996年から1997年に'ガンダー'りん茎の2℃貯蔵期間と栽培温度を変えて水耕栽培した結果を用いた.りん茎の低温貯蔵期間と栽培温度が植付け時の植物各部位の乾物重, 相対生長率, 到花日数などの生長指標に及ぼす影響を通じて, 母球から新たな生長部位(シュート, 花器, 子球)への乾物の移動をシミュレートし, さらにシュートと花器の乾物重からシュート新鮮重と花被片長を予測した.到花日数, 開花時におけるシュート新鮮重, 花被片長, 部位別乾物重のシミュレーション値は, 実測値と傾向がよく一致した.