抄録
ポルフィリン生合成の前駆体であるALAの低濃度(0.18mM∿1.80mM)茎葉処理がホウレンソウの光合成速度, 葉中の過酸化水素量, 活性酸素消去に関与する抗酸化物質量および活性酸素消去酵素活性の経時的変化に及ぼす影響について調べた.1. 光合成速度は, ALA処理により処理後3日目までに明らかに増加し, 処理後9日目までほぼ同じ値を示した.2. 過酸化水素(H2O2)含量は, ALA処理濃度が高いほど増加を示した.3. 酸化型アスコルビン酸/還元型アスコルビン酸(DHA/ASC)比は一定の傾向が認められなかった.しかし, 還元型グルタチオン/酸化型グルタチオン(GSH/GSSG)比はALA処理濃度が高いほど0mM区より大きい値を示した.4. カタラーゼ(CAT)およびアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)活性はALA処理後3日目に一時的に顕著に増加し, グルタチオン還元酵素(GR)活性もALA処理後3日目に増加した.しかし, スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性には一定の傾向が認められなかった.