園芸学会雑誌
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ブドウ実生の幼若相から成木相への相転換に伴う葉の形態的変化
卓 小能塩崎 修志尾形 凡生堀内 昭作
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2002 年 71 巻 5 号 p. 664-669

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抄録
当年生の野生種のエビヅルと栽培品種の'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生を用いて, 巻きひげの着生と葉の形態的変化の関係を調査した.用いた全てのブドウにおいて, 巻きひげ着生前の葉の葉序は144°の螺旋状を呈し, 巻きひげ着生後は180°の互生であった.Galetの指標による巻きひげ着生前後の葉の形態的差異は, いずれのブドウにおいても認められなかった.巻きひげ着生前の葉縁鋸歯数は発育に伴って増加し, 巻きひげ着生節位の葉の葉縁鋸歯数はエビヅル, 'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生でそれぞれ26.1, 27.5, 28.8であった.巻きひげ着生後の葉縁鋸歯数は, 'キャンベル・アーリー'と'巨峰'では漸増したのに対し, エビヅルの増加は非常に緩慢であった.また, 実生の発育に伴って鋸歯角度が小さくなり, 鋸歯間裂刻が深くなった.葉脈間の裂刻の深さは'キャンベル・アーリー'と'巨峰'では巻きひげの着生前後で差が認められなかったが, エビヅルでは巻きひげの着生後に深くなった.
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