園芸学会雑誌
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密植条件における M.9Nagano 台木樹'ふじ'と M.9Nagano/ マルバカイドウ(Malus prunifolia Bork. var. ringo Asami)中間台木樹'ふじ'の生育と果実特性の比較
玉井 浩小野 剛史小池 洋男茂原 泉
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2002 年 71 巻 5 号 p. 670-674

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抄録

近年, M.9のウイルスフリー数系統は, 世界のリンゴ密植栽培において, わい性台木として最も普及している.M.9Naganoは, ACLSVフリー系統として長野果樹試で育成されたM.9系統の台木である.M.9Naganoを台木と中間台木で用いた'ふじ'について, その生育, 収量並びに生産効率を, 有効土層40∿50 cmのれき質褐色低地土の条件で8年間比較検討した.M.9Nagano台木樹'ふじ'は, 定植後8年目で2×4 mの栽植距離にほぼ適合していた.一方, M.9Nagano/マルバカイドウの中間台木樹'ふじ'は, 新梢伸長や幹断面積が大きく, 枝葉の過繁茂や着色不良果が観察されて, 定植後6年目にして1樹毎に間伐を余儀なくされた.M.9Nagano台木区は中間台木区より生産効率が優れた.定植後8年目の果実品質は, M.9Nagano台木区と中間台木区の間に有意差が認められなかった.以上の結果から, 有効土層40∿50 cmのれき質褐色低地土の条件では, M.9Naganoを台木法で用いた8年生の'ふじ'は密植栽培(2×4 m程度)に適すると考えられた.

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