'白鳳','あかつき'を初め日本の生食用モモ品種のほとんどが,'白桃'の子供もしくは'白桃'と関連すると考えられている.しかしながら,'白桃'の起源については不明であった.そこで本研究では,'白桃'及び起源の異なるモモ品種について,10種類のSSRマーカーを用いて遺伝的類縁性の解析を行った.その結果,'上海水蜜桃','白桃'が遺伝的に近く,両品種に親子関係がある可能性が示唆された.一方,他の親候補である'金桃'は,'白桃'と遺伝的に近いことが示されたが,SSR対立遺伝子心遺伝子型に矛盾が観察されたことから両者間の親子関係は否定された.次に,'白桃'と'上海水蜜桃'の親子関係を43種類のSSRマーカーを用いて分析した.'上海水蜜桃'を'白桃'の親とした場合,すべてのSSR対立遺伝子が矛盾なく仮定親から子供に遺伝していた.これらの結果から,'上海水蜜桃'が'白桃'の親である可能性と,'上海水蜜桃'が現在の日本の生食用モモの起源品種の1つであることが示唆された.