2003 年 72 巻 2 号 p. 99-106
ニホンナシ品種'二十世紀'成熟果実よりACC合成酵素をコードするcDNAクローン(PPACS3)を単離した.推定されるタンパク質の分子量は55.5kDaで,495アミノ酸残基からコードされていた.推定アミノ酸は他の植物由来のACC合成酵素でよく保存されている7つの領域を含み,ニホンナシ果実由来のACC合成酵素(PPACS1,2)の推定アミノ酸配列と58%,55%の相同性を示した.ノーザンブロット及びRT -PCR解析の結果,PPACS3遺伝子は成熟果実で非常に低いレベルで発現しており,また供試したすべての品種の成熟果実で発現していた.さらに成熟果実に傷実処理を与えることにより,発現は著しく増大した.これらのことからPPACS3遺伝子は,成熟及び傷害の両方のエチレン生成に関与するものと思われた.