園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
Arbuscular菌根菌が感染したアスパラガスの立枯病耐性と根組織における繊維成分およびペクチン質含量との関連
松原 陽一長谷川 紀子大庭 尚子
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 72 巻 4 号 p. 275-280

詳細
抄録
Arbuscular菌根(AM)菌(Glomus sp. R10)が感染したアスパラガス(Asparagus officinalis L.)'メリーワシントン500W'の立枯病耐性と根組織内における繊維成分およびペクチン質含量との関連について調査した.AM菌接種10週間後に立枯病菌(Fusarium oxysporum f. sp. asparagi; MAFF-305556, SUF844, SUF1226, SUF1229)を接種した.立枯病菌接種12週間後,発病個体率は立枯病菌の系統に関わらずAM菌接種区で無接種区より低くなり,発病指数は無接種区では70~90を示したのに対し,接種区では8~16と顕著に低下した.また,AM菌接種区の非罹病株および罹病株とも,無接種区の罹病株より吸収根および貯蔵根乾物重が増大した.一方,植物体中のリン酸含量および根組織内の繊維成分含量には,調査したAM菌接種10週間後(立枯病菌接種直前)と立枯病菌接種12週間後において処理区間に大きな差はみられなかった.しかし,ペクチン質含量については,吸収根では両処理区ほぼ同様であったが,貯蔵根中の総ペクチン質含量は両調査日ともAM菌接種区が無接種区より高かった.この場合,接種区の水溶性ペクチン含量の増大が顕著であった.これらのことから,AM菌が感染したアスパラガスの立枯病耐性は,貯蔵根組織中の水溶性ペクチンを主体とするペクチン質含量と関連があることが示唆された.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top