園芸学会雑誌
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オウトウの果実発育に伴う外果皮細胞の肥大牲性の品種間差異
山口 正己佐藤 功渡部 昭石黒 亮
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2003 年 72 巻 6 号 p. 465-472

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抄録
裂果感受性の低い'Vale','Schwartze Venus' および'Mazzard',裂果の著しい'Satonishiki','Napoleon'および'Van'などの甘果オウトウ6品種の果実肥大に伴う果頂部,赤道部,梗あ部および縫合線部の外果皮細胞径の推移を調査した.果実重や果実側径は二重S字曲線を描き,各ステージの長さや測定数値には品種による差異が認められた.外果皮細胞径には部位による差異が認められ,赤道部横径,果頂部縦径および横経,縫合線部縦径などが大きな値を示した.品種による差異が大きかった部位は,梗あ部縦径,果頂部横径および縦経,赤道部縦径などであった.'Valera','SchwartzeVenus'および'Mazzard'の成熟果てはこれらの部位の外果皮細胞径が小さくなる傾向が認められた.果実重,果実側経,中果皮細胞横径と各部位の外果皮細胞経とは一部を除き有意な高い相関を示し,外果皮細胞の大きさが果実の肥大と密接に関係していることが明らかになった.外果皮の細胞は中果皮細胞とほぼ同調して分裂を行っていると推定されたが,果頂部においては,他の3つの部位とは異なり,中果皮細胞分裂停止時期以降も外果皮細胞の分裂が継続していると推定された.その期間は品種により異なり,分裂期間の長かった'Schwartze Venus','Valera'および'Mazzard'は,幼果期の果頂部外果皮細胞縦径が'Satonishiki','Napoleon'および'van'に比べて小さく,この差異は成熟に至るまで継続した.果実重および果実側経が小さいこと,および果頂部外果皮の細胞分裂停止時期が遅いことは,成熟果の果頂部外果皮の細胞径が小さくなることにつながり,裂果感受性の低下をもたらすと考えられた.
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