抄録
貯蔵湿度がカキ果実の品質劣化や果肉の細胞壁組成に及ぼす影響を調査した.低湿条件(温度20℃,湿度60%)で高湿条件(温度20℃, 湿度≧98.5%)に比べて水分損失量,エチレン生成量が多く,果実軟化が著しくなった.低湿条件で果肉細胞壁のペクチン画分中アラビノースとガラクトースが果実軟化と同時に大きく減少した.セルロース画分は低湿条件で高湿条件に比べて大きく減少した.熱水可溶性,ペクチンおよびヘミセルロースの各両分に含まれるアラビノースとがラクトース含量とセルロース含量は果肉硬度と相関が高かった.これらのことからアラビノース,ガラクトースおよびセルロース含量はカキの果肉細胞壁の健全性に大きく影響し,カキ果実の水分損失および水分損失により引き起こされたエチレンがペクチン中のアラビノースとガラクトース含量やセルロース含量の減少にともなう果実軟化の原因になると考えられた.