水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
ISSN-L : 0915-1389
原著論文
水田地帯から排水路への流出量の日内変化についての一考察
― 茨城県福岡堰地区を対象として ―
谷口 智之河野 賢佐藤 政良岩本 智裕
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 22 巻 1 号 p. 40-47

詳細
抄録

本稿では,茨城県福岡堰地区を対象に,流出水が集まる中通川(集水面積2,267 ha,うち水田面積1,221 ha)で観測された流量の日内変化に注目し,その原因を検討した.2004年から2006年において,中通川の水位を圧力式自記水位計によって30分毎に連続観測したところ,無降水時には6時頃を最高水位,18時頃を最低水位とする明確な日内変化が確認された.そこで,集水区域内の末端排水路についても水位を連続観測し,また,近隣の水田地帯で観測された蒸発散量記録を入手・検討することで,地域内での水の動きを定量的に分析した.その結果,以下のことが明らかになった.i)本対象地域では,排水路のレベルによらず,水位・流量の変化は同一の傾向を示している.ii)蒸発散量と流量の時間変化はほぼ一致しており,水量的にも高い相関関係が確認された.iii)中通川流量の日内変化は,水田群への安定した用水供給のもと,蒸発散によって水田湛水位が日内変化することによって発生していると推察される.

著者関連情報
© 2009 Japan Society of Hydrology and Water Resources
前の記事
feedback
Top