水文・水資源学会誌
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原著論文
分布型水文モデルによるレナ川流域の長期流出解析
八田 茂実早川 博朴 昊澤山崎 剛山本 一清太田 岳史
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2009 年 22 巻 3 号 p. 177-187

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抄録

本研究ではレナ川流域を対象に長期間の日単位河川流量を推定できる水文モデルの構築を目的とした.
本研究で構築した水文モデルは,植生・積雪・土壌の熱・水交換を考慮できる陸面モデルと,河道網上の洪水追跡による流出モデルから構成され,陸面モデルで計算された土壌からの流出水が流出モデルの入力値となる.対象流域では,遅い流出成分と冬季間の河川氷が流出に大きな影響を与えている.このため,流出モデルでは,1)陸面モデルで計算された流出水の30 %を遅い流出成分として,貯留関数を介して流出モデルの入力として与えること,2)河川氷厚を同時に計算し,結氷していない部分を流下させることによってその影響を考慮した.
本研究で構築した水文モデルを1987年から2003年までの期間に適用した結果,全期間に渡ってハイドログラフをほぼ再現できることを確認した.この結果は,本研究で構築した水文モデルが北方圏の河川における水循環のシミュレーションに有用なものであることを示している.

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© 2009 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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