論文ID: 36.1757
揚水規制により地下水位の低下と回復を経験した関東平野内陸部において,年周期的な変化の中に見られる,一時的な水理水頭低下時の水頭分布状況を検討した.検討にあたって1992年から25年間の埼玉県における地下水観測井の長期水位データを用い,水理水頭の長期変化,年周期性を確認した.その上で,類似する地下水位変動を有するグループでの区分や降水量の季節性,水理水頭と標高の関係より,浅層地下水の水理水頭を代表する観測井を抽出し,地下水利用量が多いと思われる6月の水理水頭の平面分布状況を確認した.その結果,利根川―荒川に挟まれた平野中央部で一時的な水理水頭の顕著な変動が確認でき,その要因として,平野周辺部からの地下水流入量低下の影響が揚水量の分布状況から示唆された.