論文ID: 37.1823
昨今、気候予測や影響評価に関する様々な情報が創出・発信されている。しかし依然として個々の意思決定者のもとにまでそれらの情報は行きわたっておらず、気候変動適応に関する意思決定がなされるまで効果的に利活用されているとは言い難い。この課題に対し、様々な分野の専門家が集まり、①気候予測と影響評価の専門家と適応策の意思決定者の関係はどうあってそれぞれ何をすべきか、②気候予測と影響評価の専門家と適応策の意思決定者は、効果的な適応策の実現に向けた強力な情報提供の主体である民間事業者、気候変動に係るリテラシーや合意形成に深く関わってきたマスメディアや環境NGO/NPOと今後どう共創・協働していくべきかについて、議論した。その結果、そこでは問題に関わる「情報創出」・「情報仲介」・「意思決定」の各主体が活発に双方向に情報共有しあうべきであることが浮かび上がった。また、その実現のためには幅広い主体間の定期的かつ対等な対話機会の確保に加え、情報創出者や情報仲介者の科学コミュニケーション能力のさらなる向上が不可欠であることも示唆された。