水文・水資源学会誌
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GMS-IRデータを用いたインドシナ半島域における対流活動の日周変化の解析
原田 周平沖 大幹虫明 功臣
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1998 年 11 巻 4 号 p. 371-381

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抄録

静止気象衛星ひまわり(Geostationary Meteorological Satellite)による一時間間隔,水平解像度0.1度の輝度温度(TBB)データを用いて,東南アジア湿潤熱帯モンスーン地域の対流活動の日変化を1年間にわたって解析した.対流活動の大きな日変化は雨季のインドシナ半島海岸域やマレー半島に存在し,タイ湾,アンダマン海等海上での日変化は陸上に比べると小さかった.陸上でも特に日変化が大きかった海岸域での対流活動の原因は,日中の太陽放射による対流活動の発達に加えて,海陸風とモンスーンの影響により下層に収束が生じたためであると考えられる.また,雨季の各月は日変化の特性から5月型(5, 9, 10月),7月型(6, 7, 8月)の2ケースに分類できた.両型ともにインドシナ半島海岸域に強い日変化を示すが,7月型は5月型よりアンダマン海上とベトナム北部で対流活動が活発である.地点毎の日変化の年間変動を陸上,海上各々について調べた結果,陸上では日没前後にピークをとり激しく変動するのに対し,海上では半日周期をとり陸上に比べ弱い日変化を示した.対流活動域と地上雨量の日周期の季節変化は比較的良い対応を示した.

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