抄録
本論は,人間の生活圏の拡大を意図して20世紀に展開されたグローバルな水資源や水文に係る自然改造計画をレビューすることから,21世紀に向けた人間社会(Human Dimension)の基盤にたったグローバル・インフラストラクチャーのあり方を模索すると同時に,新たに地球環境との共存のために我々技術者は戦略的に自然改造計画なるものをどのようにリストラ出来る可能性があるかのヒントを得るための検討を行ったものである.過去に構想されたグローバルな地域レベルの自然改造計画とグローバル・スーパー・プロジェクトのなかで,今日の地球環境時代にあっては空想の域に近いグローバルな地域開発計画から,地域の複雑な環境(利害)問題を解決しながら国民の悲願の計画を近代土木技術の粋を集めて長い年月をかけて最終的には完成に至ったスーパー・プロジェクトまでを20世紀の最後に総括してみよう.グローバルスケールの構想計画の系譜をたどるなかから,地球環境時代におけるグローバルな水資源開発計画の課題を考えるヒントを見つけ出すことが出来れば幸いである.