水文・水資源学会誌
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NOAA/AVHRRを用いたタイにおける地表面湿潤度とフェノロジーの解析
橋本 博文鈴木 雅一樋口 篤志
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2001 年 14 巻 4 号 p. 277-288

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抄録

タイを対象として雨季と乾季の季節変化に対する地表面湿潤度とフェノロジーの時間的応答を調べた.使用するデータとして,USGSからGlobal Land 1-km AVHRR Data Setを,NCDCから気象ステーションのデータを得た.広域のフェノロジーの情報はNOAA/AVHRRデータから算出したNDVIから得た.またVI-Ts法を用いて地表面湿潤度の季節変化を得た.そして,降水量,地表面湿潤度,そしてNDVIの時系列との間で比較を行なった.その結果,乾季から雨季へ移る期間において,十分な降雨が認められた日(124±21DOY),地表面が十分に湿潤になる時期(123±53DOY),更に植物の成長や活性が高まる時期の時間差が認められた.地表面が十分に湿る日に関しては土地被覆の違いによる時間差は認められなかったが,植物の成長や活性が高まる日に関しては森林(153±43DOY)と農地(170±46DOY)の間に時間差が得られた.一方,NDVIの変化からみて雨季から乾季へ移り変わる時期は,農地と森林の変化に差が見られた.農地では乾季に入ってすぐに変化が見られる一方,森林ではしばらくして生じる地上面湿潤度の低下につれてNDVIの変化が生じることがわかった.

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