水文・水資源学会誌
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不飽和層からの蒸発速度に及ぼす粒子性状の影響
坂本 康
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1990 年 3 巻 4 号 p. 21-28

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抄録

粒径を均一とした不飽和粒子層からの蒸発について, 粒子の性状が蒸発速度に及ぼす影響を, 実験結果により検討した.また, 積算蒸発量を用いて蒸発速度を表現する3つのモデルについて, モデルへの適合性, 及びパラメータ値が粒子性状によってどのように相違するかも検討した.
蒸発実験は, 5種類の大きさのガラス・ビーズ, 赤玉土について, 一定温度, 一定相対湿度 (23℃, 40%と28℃, 36%) で蒸発位を一定に設定して行なった。その結果, それぞれの粒子による蒸発過程の相違を示し, また, 蒸発速度は水分量の関数として整理できることを示した.
蒸発速度変化モデルとしては, 積算蒸発量が時間の平方根に比例するモデル (Gardner (1959)) とその改良モデル, 及び蒸発速度が積算蒸発量に反比例するモデルを対象とした.その結果, Gardner (1959) モデルは蒸発初期の適合性で劣っていた。また, 蒸発速度が積算蒸発量に反比例するモデルでは, 蒸発位が大きいときには粒子直径が大きいほど第一段階蒸発速度が小さくなった.

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