1995 年 8 巻 5 号 p. 462-470
マイクロ波レーダによる表層土壌水分量の観測手法は,(1)土壌の誘電率εは体積含水率θによって大きく変化する,(2)その結果,後方散乱係数σ0もθによって変化する,という原理に基づいている.本研究では,3つの農耕地土壌(沖積土,洪積土,火山性土)のε~θの関係およびσ0~θの関係を実験的に調べた.その結果,以下のような知見が得られた.1) 各供試土壌のε(TDR装置で測定)~θの関係は,Topp et al. (1980)が示した一般的な関係とかなり異なっていた.この誘電率特性の特異性は,団粒構造が良く発達し,乾燥密度が小さいという土壌構造に起因していた.2) 各供試土壌およびBruckler and Witono (1989)の実験土壌のσ0~θ(表層2cm)の関係には,乾燥時において大きな違いが見られた.この違いは,主として誘電率特性の違いに起因していると推察された.