水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
ISSN-L : 0915-1389
土壌構造が誘電率特性およびマイクロ波の後方散乱特性に与える影響
福本 昌人田中 米
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 8 巻 5 号 p. 462-470

詳細
抄録

マイクロ波レーダによる表層土壌水分量の観測手法は,(1)土壌の誘電率εは体積含水率θによって大きく変化する,(2)その結果,後方散乱係数σ0もθによって変化する,という原理に基づいている.本研究では,3つの農耕地土壌(沖積土,洪積土,火山性土)のε~θの関係およびσ0~θの関係を実験的に調べた.その結果,以下のような知見が得られた.1) 各供試土壌のε(TDR装置で測定)~θの関係は,Topp et al. (1980)が示した一般的な関係とかなり異なっていた.この誘電率特性の特異性は,団粒構造が良く発達し,乾燥密度が小さいという土壌構造に起因していた.2) 各供試土壌およびBruckler and Witono (1989)の実験土壌のσ0~θ(表層2cm)の関係には,乾燥時において大きな違いが見られた.この違いは,主として誘電率特性の違いに起因していると推察された.

著者関連情報
© 水文・水資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top