福島県会津地方の温暖積雪流域において,3水年にわたり渓流水質を継続的に調査した.降水量の極大は夏季に観測されるが,流出高は融雪期に最大となる.融雪時には,渓流水中のHCO3-濃度が減少し,Cl-, NO3-, SO42-濃度は増加する.そのために,渓流水のpHが一時的に低下する.暖候季の洪水時にも一時的に渓流水のpH低下が観測されるが,融雪期には比較的長い期間pH低下が持続する.夏季の渓流水中では,陰イオンでHCO3-が優先するが,融雪時にはHCO3-の比率が低下し,Cl-+NO3-+SO42-の割合が多くなる.