1996 年 9 巻 3 号 p. 271-279
植生が接地境界層の気温に及ぼす緩和効果は,植生指標NDVIに比例することが,著者らの提案した算定法により既に示されている.本研究では気象条件が同一と見なせる島根県内について,植生指標の異なる松江とAMeDASの6地域を比較し,植生が気温に及ぼす緩和効果を評価した.評価方法は,植生による気候緩和の源となる蒸発散が盛んな春夏季について,雲量の影響を除くため(同一日射条件下にある)快晴日における日最高気温を比較した.植生による気候緩和は,植生指標の差が0.7で5℃ 以上と評価され,気温推定法による結果とほぼ一致し,この推定法の妥当性が検証された.