東北タイのため池の水位と電気伝導度の長期変動を把握するため,5地点で1年以上の観測を実施した。その結果,農業に利用しているため池と未利用のため池の乾季の水位低下速度には差がなく,利用水量は自然損失量にくらべ小さいことが推定された。農業への水利用量が自然損失量よりも多いのは田植えに使う苗の栽培に水を使う7月だけであった。ため池の水位は7月上旬から中旬までは降水があってもほとんど上昇せず,その後急激に上昇した。電気伝導度は水位が低下すれば上昇し,7月上旬から中旬に最も高い値となった。塩類集積地が存在する低地部の池では,電気伝導度が1,000~15,000μs/cmと大きな変動を示した。