農業用水を利用した小水力発電の実施に関連して,経済,制度,技術など種々の問題点が指摘されている。経済性に関しては,売電価格,建設コスト,制度では河川法や電気事業法などの法制度,技術面では低コストで高出力の機器開発など,解決すべき問題は多い。本報では,農業用水を利用した小水力発電を巡る課題である法制度的障害,地域技術力の消失など複雑に絡み合った状況,小水力発電に関するステークホルダーの参加による懇談会で明らかになった問題点や課題,そして今後の小水力発電の目指すべき方向として,自治体や土地改良区,地域主体による小水力発電,地域電力によるエネルギー自給,農村地域のエネルギー生産基地について論じた。