気候変動に伴い大きな影響を受けると予想されるわが国の農業用水,土地改良施設への影響について,地域気候モデル(RCM20)を用いて,約100年後の影響評価を行い,適応策を検討した。粗用水量については,東日本および南九州において増加が見込まれるとともに,積雪地域および春先に小雨が予想される地域では,ダム確保容量の不足が予想された。また,農業用ダムの洪水対応機能への影響は,限定的と推定されたが,排水機場については,ソフト対策とハード対策を組み合わせなければ,湛水被害を軽減できないと予測された。海岸堤防については,海面上昇により,越波による後背農地の湛水および塩害が発生すると想定された。本報では,これらの検討結果について報告する。