農業農村工学会誌
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縦浸透除塩の有効性と宮城県の津波被災農地の除塩対策
千葉 克己加藤 徹富樫 千之冠 秀昭
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2012 年 80 巻 7 号 p. 527-530,a1

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抄録

東北地方太平洋沖地震の大津波により太平洋沿岸部では約21,500haの農地が塩害を受けるとともに,主要な排水施設が機能不全に陥った。このため,大半の地域で排水施設が復旧するまで除塩が実施できない状況となった。そこで筆者らは宮城県名取市内の塩害を受けた水田において暗渠排水を利用した雨水による縦浸透除塩の有効性を検討した。また排水施設復旧後,灌漑水による縦浸透除塩の効果を検討した。その結果,弾丸暗渠,耕起,灌漑水利用の有効性が認められた。平成24年春まで宮城県の除塩対策の進捗率は45%に達しているが,今後の除塩対象農地は被害が大きいため,より普遍的な除塩技術を構築していくことが必要である。

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© 2012 公益社団法人 農業農村工学会
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