近年,農業水利施設の長寿命化の必要性が認知されることに伴い,鋼矢板排水路など鋼材を使用した水利施設における腐食問題が急務な技術的課題となっている。本報では,農業用排水路を対象に鋼矢板-コンクリート複合材による鋼矢板保護工の力学特性を検討した結果を報告する。曲げ載荷挙動を荷重-変位挙動の観点から評価した結果,鋼矢板にコンクリート被覆を施すことにより変形挙動の抑制効果が明らかとなった。このことから,腐食代を有する既設鋼矢板を有効利用しLCCの低減を考慮した場合,鋼矢板-コンクリート複合材の保護工としての有効性は高いものと考えられる。