本報では,農業農村整備事業における環境配慮対策で住民参加の形骸化を防ぐ改善策として,県営事業について調査・計画段階での検討内容が環境配慮対策の成否に大きく影響することから,協力主体への業務委託の前に次の内容を実施し,環境配慮対策を住民とともに検討するための「地ならし」が必要となることを明らかにした。具体的には,①環境情報に関わる既存資料の収集,②環境に関わる地域活動情報の収集,③地域の代表者などとの環境配慮対策の基本方針についての共通認識の構築,さらに必要に応じて,④地域住民が参加した環境調査などの実施などである。こうした「地ならし」を行う上で,関係市町村の協力がきわめて重要となり,事業実施に当たる担当者間での緊密な連携が必要となることを指摘した。