2012年8月末から約1カ月の間に,徳之島には,大規模な3つの台風が連続して襲来した。台風常襲地域に位置するとはいえ,この災害は近年にない甚大なものとなった。本報では,この災害について地域特性の分析を行うとともに,被災と復旧を巡って現れた災害文化について,文化のレベルと担い手という視軸から考察する。この「長寿の島」に現前する災害文化は,生活全般にわたる相互扶助とそれを支え培った分厚いソーシャル・キャピタルに基礎付けられたものであり,高齢化社会の災害に強い国づくりに示唆するところ大なるものがある。