小水力発電事業の事前検討に役立てられることを目的として,北海道オホーツク地域にある農業用ダムを対象とした小水力発電事業モデルの採算性の評価を行った。発電原価は発電期間や発電規模などの条件により異なる結果となったが,固定価格買取制度の調達期間20年間における収支では,発電電力量が大きいほど高い収益が見込まれた。また,この試算結果を,北海道オホーツク地域の産業連関表に基づく簡易分析ツールに投入して,地域経済波及効果を試算した。その結果,小水力発電の施設建設に伴う生産額のほとんどは地域外へ波及することになるが,電力生産により誘発される経済効果は地域内において持続的に発揮されることが示唆された。