農業農村工学会誌
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むらづくりのための土地利用調整に関する新たな制度的枠組みの検討
荘林 幹太郎岡島 正明
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2014 年 82 巻 9 号 p. 715-719,a1

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抄録

農村の最大の資源である農地の利用調整制度の確立がむらづくりの前提となる必要がある。農地の利用調整は,個別アクター間の経済的利害の調整という側面を有している一方で,農地利用に関わる集合的調整がもたらす公共財の提供という側面も有している。個別アクター間の調整がもっぱらアクター自身の「現在」(あるいは比較的短い時間フレーム)の経済的関心を対象とするのに対して,集合的調整はアクター自身のみならず多数のアクターの「現在」および「将来」の集合的関心事項を対象とする。そして,個別アクター間の現時点での経済的調整が,将来にとっての望ましい集合的調整の結果と一致する保証はない。だからこそ,両観点の調整を可能とする持続的な管理主体が必要となる。本報では,土地所有者を中心とした自主的農地管理組織が持続的な管理主体となりうる可能性を,他の管理手法との比較により明らかにするとともに,それを制度化するための原則を提案した。

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© 2014 公益社団法人 農業農村工学会
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