寒冷地の農業水利施設において適時・適切な保全管理を行うためには,温暖な地域とは異なる施設診断と対策技術が必要となる。特に,その機能診断ではコンクリートの凍害に着目する必要がある。著者らは,コンクリート開水路の凍害診断技術の開発を進めており,凍害劣化機構の精査と凍害診断手法に関する検討を行っている。本報では,最初に,北海幹線用水路の側壁よりブロック状に切断採取した試験体を用いてX線CT法により調査・分析を行った結果について述べる。次に,コンクリート開水路の凍害劣化に対する診断手法の在り方について述べ,最後に,凍害劣化を生じたコンクリート開水路における補修・補強時の留意点を述べて,本報を総括する。