農業農村工学は,農業・農村における生産や生活の条件・環境を改善・改良することを中心とする総合的な科学技術である。その主な対象である日本の農業・農村では,これまでは見られなかった事態となっている。とくに,農業者の減少や高齢化,それに伴う農業生産と農村社会の変容は急速に進んでいる。一方で,新たな経営主体の登場や,対応に活用できる科学技術の進展も見られる。そうした状況の中で,農業農村工学の基本的な目標や理念,これまでの蓄積や成果を整理した上で,大きな時代の変革に際しての新たな課題と求められる挑戦をまとめた。