大規模経営体への農地の集積など農業構造の変化が進む中,経営体の体質の強化が求められており,その中の課題の一つが,水田水管理作業の省力化である。農研機構農村工学研究部門は,水田水管理の軽労化と節電を目的に「圃場水管理の自動化」と「圃場ブロック配水管理の自動化」の2つのシステムを開発した。本報では,これら新技術を紹介するとともに,新技術適用に向け,①多様な水管理を可能にする用水の確保,②水需給調整のあり方,③経営農地の連担化,④土地改良事業への参加資格者の定義といった法や制度上の課題について,各地の経営体や土地改良区などの調査事例をもとに考察を行った。