農業農村工学会誌
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中山間地域の新たな土地利用としての山地酪農の意義と課題
内川 義行
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2018 年 86 巻 11 号 p. 989-992,a1

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抄録

欧州山岳条件不利地の農業的土地利用は多くが放牧地である。一方,わが国の中山間地域は主に耕種農業で対照的である。限られた担い手での農林地維持が困難な中,家畜利用による空間利用・管理を根本的に見直すべきであろう。本報では山地酪農を取り上げる。地形改変を伴わないシバ地放牧を基本とし,里山・森林内の草資源も活用する。耕作放棄地・管理不足林地の利用,家畜生産の拡充,輸入飼料の抑制,家畜生産者の労力軽減など,多様な観点から期待しうる。しかし新規実施の用地確保には多くの障壁がある。そこで本報では,①山地酪農の概況,②自治体主導で導入を図る長野県根羽村の事例から,その用地確保および新規就農者導入の現況を示した。さらに③今後の課題,特に土地利用計画の面から考察を行った。

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© 2018 公益社団法人 農業農村工学会
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