湖沼の水環境の改善のためには,農業排水の対策が期待されており,水田地帯における循環灌漑は,その対策の一つと考えられている。循環灌漑を導入する際には,流出先の水質と同時に灌漑受益地内の水質にも気を配る必要がある。本研究では霞ヶ浦流域内の新利根川土地改良区を対象に,電気伝導度(EC)のモニタリングをもとに水収支とECフラックスの算定に基づき,循環灌漑を導入する際の霞ヶ浦へのECフラックスの削減量と受益地内のECの変化を予測した。その結果,排水ブロックから霞ヶ浦へ流出するECフラックスは約40%削減できるが,排水ブロック内では循環灌漑によりECは約1.5倍上昇することが示された。