農業農村工学会誌
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肥培灌漑施設の新設と河川水中の全窒素濃度の改善効果
山崎 由理宗岡 寿美木村 賢人辻 修
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2018 年 86 巻 8 号 p. 709-712,a2

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抄録

1993~2013年の間,北海道東部の風蓮湖に流入する酪農小流域で河川水中の窒素濃度を調査した。その結果,単位草地面積当たりの乳用牛飼養頭数(飼養頭数密度)が大きい流域では,河川水中の全窒素(T-N)濃度およびT-N中の硝酸態窒素(NO3-N)の割合が高くなっていた。また,1990年代に1mg/lを超過していた酪農3流域の河川水中のT-N濃度は2000年代以降に低下していた。とくに,国営環境保全型かんがい排水事業「はまなか地区」で整備された肥培灌漑施設(大型スラリータンク)の新設率増加に伴う河川水中のT-N濃度の低下傾向は明らかであり,水質環境・地域資源に関する保全対策を通じて酪農流域河川の水質改善がはかられた。

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© 2018 公益社団法人 農業農村工学会
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