平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震は,道内では観測史上初の震度7を記録し,厚真町,安平町,むかわ町を中心に甚大な被害を発生させた。当該地域は,稲作を中心とした道内でも主要な農業地域であり,国営土地改良事業などで造成された農業水利施設が多数存在しているが,震源に近い厚真ダムや瑞穂ダム,パイプライン構造の厚幌導水路,その他頭首工や開水路などの主要な施設が大規模な震動と,これに伴う多数の斜面崩壊により被害を受けた。本報では,発災直後から北海道開発局および寒地土木研究所が行ってきた農業水利施設の被災状況調査の結果について報告する。