筑後川下流用水事業は,福岡県および佐賀県の筑後川下流地区約34,000haの農地に筑後川から導水することにより,別途実施された国営筑後川下流土地改良事業,県営ほ場整備事業等と相まって,地区内に散在するクリークの統廃合による大規模な用排水系統の再編成,淡水(アオ)取水の合理化,用水不足の解消を図るとともに,農業の近代化,農業経営の合理化を図ることを目的として実施されたものである。水資源機構は,本事業により建設された基幹施設である揚水機場やパイプラインシステムを管理運用することにより,筑後川下流域の農業の発展に大きく寄与している。本報では,筑後川下流用水事業の役割と効果,農業用水を安定供給するための管理業務の現状と課題について報告する。