2022 年 90 巻 4 号 p. 243-246,a1
持続的企業体としての農業経営が担い手の中心となる農業構造への転換が必要であり,その農業構造を前提とした基幹的農業水利施設の更新事業を効果的に進められる政策・制度を再構築しなければならない。成長産業化が進む農業構造においては,スマート農業技術の進歩とともに,農業経営のビジネスモデルや農業経営者の役割・働き方も大きく変わっていくことを念頭に,スマート農業経営やバリューチェーン農業全体のマネジメントを支える基盤整備が潜在的な事業ニーズになりうる。また,更新事業の制度的懸念に対しては,事業コスト負担のあり方と実施主体の組織単位の広域化という観点から,時代にあった見直しに向けての政策議論が求められる。