2023 年 91 巻 11 号 p. 787-790,a1
農業水利施設の機能保全とライフサイクルコストの低減を図るための実務に必要となる基本的事項を取りまとめた「農業水利施設の機能保全の手引き」を令和5年4月に全面的に改定した。改定の背景には,農業者や農村人口の著しい減少や高齢化,それに伴う農地面積の減少という農業生産基盤の脆弱化が懸念される事態に直面しているといった社会情勢のほか,「土地改良長期計画」(令和3年)などの政策に沿った技術的対応を行う必要が生じたことなどが挙げられる。本報では,今回の改定で強調した農業水利システム全体の視点,水利用機能の診断をストックマネジメントサイクルに位置付けた点など,手引き改定の背景や概要について紹介する。