日本全国の義人の中で農業水利事業の功績により義人と呼ばれるようになった人は, 全体の約38%を占めており, 農業水利事業がいかにその地域に貢献していたのかを知ることができる。それでは, 農業水利事業を通して義人と呼ばれるようになった人びとの功績は, 現代においてどのように評価され, そしてその功績は現代のその地域の文化的・社会的環境にどのような影響を与えているのであろうか。
本報では一っの事例として, 農業水利事業の功績により義人として祀られるようになった鳥取県八頭郡郡家町の安藤伊右衛門の功績と, その功績が現代の郡家地区に与えている影響にっいて調査した。