農業土木学会誌
Online ISSN : 1884-7188
Print ISSN : 0369-5123
ISSN-L : 0369-5123
合口問題のゲーム分析
元杉 昭男
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 73 巻 4 号 p. 303-306,a2

詳細
抄録

合口事業は, 工学技術の発展ばかりでなく利水団体間の調整や政府の介入などを前提に成立する。その意義と成立条件を整理しつつ, 合口問題に対し, 上下流の利水団体が合理的な行動を前提として, 維持管理費節減額, 渇水被害額, 政府補助金および合口工事費を利得の要素とし両者の利得配分率を考慮した交互提案交渉ゲームを適用した。その結果, 合口成立は, 全維持管理節減額から全渇水被害額を差し引いた額が合口工事費より大きい場合か, 上流団体の対抗提案において下流団体の利得増が負とならないことを明らかにするとともに, 合意に必要な政府補助金は利得配分率や維持管理費節減額などによって異なること, 利得配分率が確定しているときは双方の割引因子により無限回交渉がどちらに有利か決まることが明らかになった。

著者関連情報
© 社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top