農業農村工学会誌
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善光寺用水の改修に併せたゲンジボタルの保護策について
甲斐 貴光
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2008 年 76 巻 8 号 p. 713-715,a2

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抄録

善光寺用水は, 長野市街地を流れる裾花川と犀川を取水源とする用水路であり, 第四紀層の長野盆地に位置する犀川左岸の水田約989haを潤している。裾花川水系の現在の水路網は, 昭和9年~12年に築造された施設のままであり, 護岸の洗掘や亀裂により漏水が激しく下流の用水不足が生じている。また空石護岸の背面が吸い出されて, 護岸の安全性の問題や周辺宅地への影響が懸念されている。そのため善光寺平地区の県営かんがい排水事業により安定した用水確保を目的に, これを幹線導水路として改修することになった。そこで現地調査を進めたところ, 用水路にゲンジボタル (Luciola oruciata) が生息していることが確認された。本報では, ゲンジボタルを中心とする自然生態系を把握し, 生態系の影響や保護策を講じ, 自然環境に配慮した善光寺用水の改修工事の取組み事例を紹介する。

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