抄録
本稿は近年産学連携のICT利用が多様となりつつあるもののその効果判定に関する考察が見当たらない点を踏まえて,一般のアンケート調査では効果の把握が困難であるという課題を意識しながら,大学組織文化の特徴と産学連携の実態を考慮した連携本部の情報発信におけるICT利用の効果判定方法を考案した.そして神戸大学の事例をもとに当該方法の有用性について初歩的な考察を行った.
有用性考察の結果,本判定方法を通じて教員の産学連携意識と連携本部の情報発信方法によるICT利用効果の変化が予測可能となった.また,情報発信方法とICT利用との組合せでより効果的な情報発信を図る検討において本判定方法が寄与する可能性を示した.