抄録
近年,効果的・効率的な産学連携の推進を求める声が高まってきている.これと呼応するように,産学連携に関する指標設定と評価,定量的データに基づく検証研究が多く取り組まれてきている.
本研究では,これまで日本において取り組まれた産学連携に関する定量的データに基づく検証研究を振り返り,研究の時系列変化,各々の研究背景による類型化と産学連携の影響要因を類型化した.その結果,1)日本の産学連携が欧米諸国と異なる歴史背景をもち多様な推進形態となっていること,2)シリコンバレーモデルとは異なるタイプの中小企業との連携への移行が進行していること,3)地域の影響を大きく受けたイノベーションシステムとなっていること,が浮き彫りにされた.