2022 年 78 巻 2 号 p. I_105-I_122
2020年7月宅地建物取引業法施行規則一部改訂により宅地建物取引時の水害ハザードマップ説明が義務化されたが,水害ハザードマップ等は避難促進のため最大規模被害を想定しており,住宅地選択への活用に課題がある.徳島県内の消費者,宅地建物取引業者へアンケートとヒアリングの結果,「水害ハザードマップにはリスクを誤る潜在的可能性がある」,「住宅地の利便性は評価できるが安全性(被害,避難経路等)は評価できない」,「安全性評価は浸水深の他,住宅地費用等の影響がある」という課題が明らかになった.
以上の課題解決にむけ,災害リスクを理解し住宅地選択できる新しい水害ハザードマップ等の活用のあり方として,「マルチハザードリスク理解促進の仕組み」,「浸水深と建物被害,復旧費用等との関連付け」,「避難経路情報の提供」を示した.