産学連携学
Online ISSN : 1881-8706
Print ISSN : 1349-6913
ISSN-L : 1349-6913
特集 産学官金連携による地域イノベーション創出の現状と展望
二極化する地域金融,その未来
「課題解決型銀行」と「金融排除型銀行」
橋本 卓典
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 14 巻 1 号 p. 1_14-1_19

詳細
抄録
地域金融機関のビジネスモデルの二極化が顕著だ.従来の「規模追求型」と金融庁が求める「課題解決型」だ.「規模追求型」は,規模をいかして担保・保証に依存した融資をしてきたが,長引く金利低下で,収益が成り立たなくなった.金融庁は,担保・保証に依存するあまり,本来,事業性があるにもかかわらず取引しない「日本版金融排除」の実態があると指摘した.他方,金融排除ではなく,企業の経営課題を解決し,持続可能性を目指す「金融包摂」のビジネスモデルに挑戦する金融機関もある.販路,仕入れ,人材のマッチングなどのサポートだ.システムのクラウド化と店舗の合理化で,コストを削減し,営業ノルマを廃止して,課題解決に取り組む銀行もいる.こうした「共通価値の創造」を目指す銀行は,利ざやの低下が限定的なのが特徴だ.
著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 産学連携学会
前の記事 次の記事
feedback
Top