抄録
地域金融機関のビジネスモデルの二極化が顕著だ.従来の「規模追求型」と金融庁が求める「課題解決型」だ.「規模追求型」は,規模をいかして担保・保証に依存した融資をしてきたが,長引く金利低下で,収益が成り立たなくなった.金融庁は,担保・保証に依存するあまり,本来,事業性があるにもかかわらず取引しない「日本版金融排除」の実態があると指摘した.他方,金融排除ではなく,企業の経営課題を解決し,持続可能性を目指す「金融包摂」のビジネスモデルに挑戦する金融機関もある.販路,仕入れ,人材のマッチングなどのサポートだ.システムのクラウド化と店舗の合理化で,コストを削減し,営業ノルマを廃止して,課題解決に取り組む銀行もいる.こうした「共通価値の創造」を目指す銀行は,利ざやの低下が限定的なのが特徴だ.