産学連携学
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特集1 地方大学振興と地域産業創出の取組2
“IoP(Internet of Plants)”が導く「Next次世代型施設園芸農業」への進化
受田 浩之
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2021 年 17 巻 2 号 p. 2_9-2_21

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抄録

高知県は単位面積当たりの農業産出額が日本一である.この優位性は施設園芸における精緻な栽培技術の確立や市場競争力の高い栽培品目に重点化したマーケティング戦略等に起因する.2018年から開始した「IoP (Internet of Plants) が導くNext次世代型施設園芸農業への進化」に関する高知県産学官の連携プロジェクトにおいては,これまでに確立された環境制御型農業をさらに進化・発展させ,IoT/AI技術を駆使することで環境データ,作業や市場データに加えて,これまでは全くブラックボックスであった植物の光合成や蒸散などの生理・生態に関するデータまでも見える化し,営農指導にまで活用できるIoPクラウドを構築している.10年間のプロジェクト期間において,IoPクラウドを確立するための技術開発と現場への実装,IoP施設園芸農業を実践,普及していく中核農業者の育成,さらにその教育・研究環境を充実させるための地方大学の改革を進めると共に,本プロジェクトを自走させる組織としてIoP推進機構の立ち上げと運営を進める.本稿においては,本プロジェクトの立ち上げの経緯とプロジェクトマネジメントの仕組み,並びにPDCAについて,事業責任者の立場から詳述する.なお本研究は,内閣府地方大学・地域産業創生交付金の助成を受けたものである.

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