産学連携学
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論文
概念実証の観点から見たスタートアップ企業の設立のためのアカデミアとベンチャーキャピタル間の知識共有の分析
酒匂 孝之内平 直志
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2023 年 20 巻 1 号 p. 1_38-1_50

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抄録

大学や公的研究機関などのアカデミアは研究成果を事業化する機能を持たないため,そこで生み出された研究成果をもとにイノベーションをおこすには,研究成果を産業界へ技術移転するか,スタートアップ企業を設立し事業化することが必要となる.先行研究ではアカデミアの研究成果はその性質から,技術移転よりもスタートアップ企業を設立することが向いているとされている.一方,スタートアップ企業を設立するためには各種リソースを獲得するための資金が必要であるが,アカデミアの研究成果を活用したスタートアップ企業は資金獲得に困難を伴う.

本研究ではアカデミアとベンチャーキャピタルが一体となって,アカデミアの研究成果を活用したスタートアップ企業の設立に向けた検証を行う4つのプロジェクトを分析した.分析においては概念実証を獲得するためのプロセスをフレームワークとして活用した.分析の結果,アカデミアとベンチャーキャピタルが一体となってプロジェクトを実施することは,情報の非対称性と不確実性の解消を行うことができ,スタートアップ企業の設立,資金供給に影響を及ぼすことが確認できた.

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