2026 年 22 巻 2 号 p. 2_30-2_39
本研究では,産学連携活動が企業に与える経済的効果を,国内上場企業のパネルデータを用いて検証した.企業が大学と共同出願した特許件数を産学連携の代理変数とし,企業の属性別に売上高への影響を固定効果モデルにより推定した.分析の結果,産学連携特許は企業業績に対して統計的にプラスの効果を持ち,その効果は製造業および従業員数800人以下の中堅・中小規模の企業群でより顕著となる可能性が示された.また両属性を併せ持つ企業群と,製造業に属する特定の業種において高い連携効果を発揮し得ることも確認された.産学連携は企業業績向上の契機となり得る一方,効果の大きさは企業の産業特性や規模に依存し得ることが示された.産学連携の促進において,企業の異質性を考慮することの必要性を示唆している.