抄録
産学官連携における関係者は新聞の情報コミュニケーションによって相互理解を深められる面がある.本研究では産業専門新聞のひとつである日刊工業新聞を採り上げ,2003-2008年の産学官連携の記事分析を行った.日刊工業新聞の大学・産学連携面を中心とする1761件の記事データベースを作成し,テーマや主体によって6年間の記事数増減の傾向に違いがあることを確かめた.明確な記事数の増加は国の施策ではなく,国の方針を念頭においた連載記事の掲載が主因だった.また重点施策でも専門性が高い内容では専門記者の寄与が欠かせないこと,国の支援が縮小に転じても,専門紙・専門記者のポリシーに基づく情報発信の継続がみられることを明らかにした.